ひとりよがり

「まあいいか」と「じゃあいいや」を繰り返す日々のキロク

74センチから見える世界

1歳児との生活というのは、色々な発見があっておもしろい。

 

1歳を過ぎた頃から指差しができるようになったムスコは、気になるものがあれば指
差しして「ん!ん!」と一生懸命教えてくれる。
いろんなものをごちゃっと入れている小物入れからぴょこんと顔を出すボールペンの先だったり、テレビ台の下に潜り込んだシリアルの欠片だったり、カラーボックスの側面に貼られた小さいシールだったり。

「あれなに?」とか「あれみて!」の時は「ん!」と言って、「あれ取って!」のときは「あ!あ!あ!(えとあの中間位の独特な発音)と、激しくアピールしてくる。危ないものだったり触らせたくないものだったりすると、「これはあげられないのよ~」と言って要求を無視するのだけど、そしたら「あ!あ!あ!うわあぁぁぁん!」と大泣きするのだった。このやりとりが最近の日常。あまりにも頻繁にやられるのでもういっそのことムスコの視界に入るものすべて納戸にしまってしまおうかしら、と乱暴なことを思ったりもするのだけど、いつか思春期になった時には好きなものも気になっていることも親にはなにひとつ教えてくれなくなるんだろうし・・・とずいぶん先のことを寂しく思いながら今日も同じやり取りを繰り返す。

 

外に出ているときも、最近は抱っこ紐よりもヒップシートで前向きに抱っこして移動することが多いのだけど、いろんなものを発見しては教えてくれる。赤いバス、黄色いタクシー、青いゴミ収集車。あとはポストと、美容室のくるくる、公衆電話。公衆電話なんて、一人で歩いるときには気にも留めていなかったから、あれこんなところにあったんだ、と有事の際には役立つ情報としてムスコに教えてもらった気分だ。あとは町内や商店街の地図。じっと眺めては気になる文字を指で触ってみたりしている。私も一緒になって眺めているのだけど、少し古い情報のようで、知らないお店の名前がたくさんあったりする。


植物にも興味しんしん。少し前は気になるけどすこし怖いのか触ることができなくて、目の前に立って首を横にフルフルしていたのだけど、最近は指先でチョン、と触るようになった。
お散歩している犬も大好き。一生懸命駆け足で追いかけるのだけど、犬のほうが早くていつも追いつけなくて泣いてしまう。最近、降園時間によく会う柴犬とその飼い主さんは、ムスコが寄っていくと待っていてくれて、触らせてくれる。小さい手が犬のふわふわした背中に埋もれている様子はなんともたまらない。

 

ムスコは興味の赴くまま、いろいろなところにずんずん歩いていって、何かを発見すると立ち止まる。毎日毎日。わたしも一緒になって歩いたり、立ち止まったりしているうちに、街路に植えられた花の種類や、松の木に松ぼっくりが実る過程とか、美容室の定休日とか、おとなしい柴犬や優しい飼い主さんとか、そんな、今まで生活の中で見過ごしてきたあれこれを発見しているのだ。まるでわたしも1歳から人生をやり直しているみたいで、それはとても贅沢なことだなと思う。