ひとりよがり

「まあいいか」と「じゃあいいや」を繰り返す日々のキロク

吐露

もう、生活のすべてが嫌になってしまった。

 

早朝、眠りが浅くなった子は何度もふえ~んと声を上げる。その度にわたしは起きて体勢を整えてあげたり、背中をとんとん、とたたいて再度眠りにつけるように促す。そうやって寝ているのか起きているのかわからなような状態から今日も私の一日は始まった。

子が完全に目を覚ましたのは朝6時頃。今日の札幌はとても冷え込んでいて、なかなか布団から出られなかったけど、そうすると退屈な子はどんどんと機嫌が悪くなりしまいには大泣きする。うるさくてたまらなくなって、一緒にリビングへ行く。

リビングには昨日片づけることができなかったおもちゃや、子が好き放題にちらかした紙類に紛れて、夫が転がっていびきを立てて寝ていた。子が生まれる以前から住んでいる1LDKの我が家は、気持ち程度の間仕切りで仕切られたリビングと寝室しかなく、子が生まれてから夫はリビングに布団を敷いて寝ている。ベッドで3人で寝ることもできるのだけど、夜泣きで眠りを妨げられるのが嫌な夫は頑なに一人で寝ているのだ。

ストーブを付けて、子のおむつを替えて、お茶でも飲ませてあげなきゃとキッチンを見渡すと昨日の洗い物が残ったままのシンク。ミートソースがべっとりとついた鍋と皿、片隅に寄せられた生ごみを見てげんなりしてしまう。食器洗いがされていない、ということは、と思い浴室のドアを開けるとやっぱり残り湯が張ったままであった。どうやら夫は昨日、自分の分担された家事を何一つやらずに寝たようだった。

ああまたか。そう思っているうちに今度は子が空腹で泣き出した。急いで冷凍してあったごはんと、作り置きの離乳食をレンジにかける。散らかったままのキッチンで、足元にへばりついて泣くムスコをなだめながら、大急ぎでおにぎりを握る。あまりにもぐずるので、とりあえず食事用イスに座らせ、出来上がったおにぎりを1個づつ皿において、先に食べてもらう。こうしているうちに夫が起きてきて食器洗いを始めた。さらに狭くなるキッチン。げんなりしつつも、おにぎりと、残りのおかずを用意して食卓へ行くと、子が口からおにぎりをべぇと出して、それを手でこねて遊んでいた。最近、好き嫌いが出てきて食べたい気分じゃないものはこうやって口から出すのだった。あんたがお腹減ったってぐずるから、大急ぎで用意したのに・・・と、やるせない気持ちで食卓について、おかずを食べさせようとすると、今度は顔を背けて拒否。なんにも食べないじゃん、とつい文句が口からこぼれてしまう。言ったって意味なんてないのに。結局チーズと野菜ジュースしか口にしてくれなくて、困り果てる。そうしているうちに洗い物を終えた夫が「(食べさせるの)代わろうか?」と声をかけてくる。代わろうか、じゃあないんですけど。そもそも朝ごはんを食べさせる担当は夫。私はその間に、大人の朝ごはんと、自分のお弁当、夜ごはんの仕込み、登園準備、自分の身だしなみを整なきゃいけないのに。あなたが昨日さぼった食器洗いを今やってるからすべてが一手遅れてるんだけど、という言葉を飲み込んで「全然食べないけどよろしく」と交代した。

自分の身支度をして、台所仕事を大急ぎで終わらせた頃にムスコも食事を終えたようだった。自分の食事を終え、優雅に朝シャンをし、出社していく夫。朝の分の食器を片付け、子供の着替えをし、おもちゃを片づけ、ルンバの導線を確保して、火の元戸締りその他もろもろのチェックをして、保育園へ連れて行った。ベビーカー拒否のムスコはまもなく10キロを超えようとしていて、抱っこして登園するのも一苦労だ。

保育園に着いてお見送りのする時には、大好きな先生にべったりのムスコは手を振る私を一瞥して、上機嫌でお部屋に入っていった。朝、身動きが取れないほどのママべったりはなんだったんだろうと思う。

電車に乗って通勤する。駅について出社する前に、残高不足で引き落としができなかった保育園の利用料を振込に銀行へ走る。振込を終えて、駅に置いてある自転車に向かうほんの5分間のあいだに心が折れてしまった。ああなんだか疲れたな、しんどいな、休みたいなと思った。度々子の発熱や予防接種で有休を消化しているし、これからもたくさん休むだろうからこんなことじゃ休めないなと思って自転車に乗った。

午後から雪が降るらしい。11月中旬、向い風があまりにも寒くて涙が出た。

 

なんだかなぁ。わたしの人生、なんだかなぁ、である。

 

1日のほとんどの時間を保育園に預けているから、子供としっかり向き合えている実感がなくて。きっと子供が大きくなった時、あの時、もっと一緒に過ごせたらな、と絶対に後悔するんだろうなと今からもうわかっている。子供だって、はやく食べてと食事をせかしてバタバタと家事をしながら「ちょっと待っててね」ばかり言う母親のことよりも、ニコニコ一緒にあそんでくれる保育園の先生の方が好きだろう。

仕事は時短勤務の上休みがちなものだから戦力としてカウントもされず。そもそも営アシなんて仕事、雑務雑務&雑務の応酬で、営業とユーザーの顔色をうかがってばっかりで生産性もやりがいもない。人間関係は卒なくこなしているつもりだけど、業務以外でかかわりがあるような仲の人はいない。

時短勤務でもらう給料はほぼ保育料として消えていき、家計の足しにもなず、なんなら残高不足でその保育料すら引き落としできないほど家計はかつかつで。それでもこの仕事を手放せないのは、いい年して資格も実力もない自分が再就職する難しさをわかっているから。微々たる金額だけど、このお金がないと家計がもっと真っ赤っかになるから。

家事だって、食事は良くて作り置き、あとはレトルト頼みであったかくておいしいごはんを用意することもできない。冷凍されたごはんばっかり、そりゃ子供だってべぇしたくなるよね。部屋は散らかり放題、掃除機はルンバがやってくれるけど、最後にトイレ掃除したのはいつだっけ?シーツを洗ったのはいつだっけ?家の中にいるとあれもやらなきゃ、これもやらなきゃばかり頭に浮かぶ。

自分のものじゃない賃貸の家に毎月家賃を払って、子供の泣き声や騒ぐ声に苦情がこないかびくびく生活して。完全に3人で住むにはキャパオーバーの部屋で、今日も収納からあぶれたものや無理やり押し込んだ家具に体のあちこちををぶつけなら家事をして。

色々なことが積み重なっても発散する時間もお金もなくて。私より多少自由に生活している夫がうらやましくて優しくできなくなって。やってくれることもたくさんあるのはわかっているけど、やってくれないことにばかり目がいって、不満が募って優しくできなくて。自己嫌悪に陥るけど、夫だって私に優しくしてくれない。一生を誓った相手のことをどんどん嫌いになっていく日常が怖い。好きじゃなくなっていく人と生活する毎日がしんどい。

 

明日もまた同じ繰り返しが待ってるんでしょ、明後日もしあさっても。なんだかなぁと思いながら爆速で流れていく月日、もう疲れたっぴ。